トランプの「アメリカファースト」とは決定的に違う…「日本人ファースト」の致命的な弱点とは?記者会見を行う参政党の神谷宗幣代表(7月22日) Photo:SANKEI

「日本人ファースト」に
共感した多くの有権者

 7月に行われた参議院選挙では、「日本人ファースト」を掲げた参政党が予想を上回る躍進を見せた。全国比例区では12.55%を記録し、2024年衆院選の3.43%から大きく飛躍し、都市部を中心に当選者を次々と出した。

 一部のメディアは日本ファーストを掲げた参政党の躍進を「極端な排外主義の台頭」と批判したものの、現実として、このスローガンに共感した有権者が多かったことは認めざるをえない。

 その背景には、外国人労働者や訪日客の増加によって、日本社会の一体感や文化的統一性が損なわれつつあるとの懸念が広がっていることがある。

「日本人ファースト」という言葉はリベラル勢力やマスコミを中心に、強い警戒感を呼んでいる。中には「差別」「排外主義」「ナショナリズムの暴走」といったレッテル貼りまであるようだ。

 だが、SNSの声を拾ってみると、こうした批判に反発する声も多い。日本人ファーストに共感を寄せる有権者には、「外国人の権利ばかりが優先されて、自分たちが置き去りにされている」といった不安があることが見て取れる。

 埼玉県川口市で顕在化したクルド人コミュニティとの摩擦は、その象徴的な事例になっている。生活空間における現実の問題として認識されている以上、「日本人ファースト」は単なるスローガン以上の意味を持ちうる。

 なお、川口市における2025年1月1日の外国人住民は人口比約8%で、このうち上位は中国、ベトナム、フィリピン、韓国、ネパール、トルコ、インドネシアなど。このうち、トルコ国籍の多くがクルド人(正確にはクルド系トルコ人)だと考えられる。
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01020/010/toukei/12/43956.html

 本稿では、「日本人ファースト」というスローガンの意味をあらためて検討し、それをトランプ前大統領の「アメリカファースト」と比較しながら、その違いなどについて考えてみたい。