ではネットフリックスの幹部はどうするのでしょうか?ここで考慮すべきはネットフリックスの幹部はGAFAMに匹敵するほど頭がいい、天才的な経営幹部で固められていることです。ですから私は単純な1や2ではない戦略を採るのではないかと考えます。
150億円投資を回収する
Netflixの“最強戦略”
そのやり方を少し妄想を加味したうえで予想してみましょう。たとえばこんなやり方です。
2月からネットフリックスがWBCに向けて「新規登録ユーザーは30日間無料」を打ち出します。ネットフリックスは他の動画配信サービスと違って無料トライアルの制度がないのが特徴なのですが、WBCの期間に限って1カ月無料を打ち出すのです。
こうすれば2月中旬に加入した人ならばWBCの決勝戦の3月11日(日本時間の3月12日)まで、ネット環境さえあればWBCを視聴できます。ここまでは普通に思いつくやり方でしょう。ただ高齢者にとっては設定の仕方がわからないかもしれません。
そこで3月に入ったら読売、朝日、毎日、日経、産経の5紙に見開き2ページの全面広告を3日連続で打つというやり方はどうでしょうか。

「ネットフリックスの無料登録の仕方」という広告です。60~70歳の男性が自力でスマホ、パソコン、テレビを設定できるようにするやり方がわかりやすく書かれています。
追加でかかる新聞の広告宣伝費は推計で5億~6億円でしょうか。WBCの放映権料150億円から見れば誤差範囲です。そしてこの広告には2つの効果があります。ひとつは高齢者の野球ファンの不満を解消すること。もうひとつは読売、朝日、毎日、日経、産経がネットフリックスの味方に回ることです。
さらにダメ押しのこんな作戦を考えてみました。WBCの準々決勝あたりから、試合の途中のCMの時間に、「もうすぐWBCもおしまいですね。ネットフリックスの解約の仕方、覚えてくださいね」という謎の広告を入れます。この世代が共感するタレント、たとえば私の世代だったら綾瀬はるかさんあたりが笑顔でそう訴えるのです。