<ケース1>リフォームしたくてもできない?「検査済証」の壁
築20年以上の物件で頻繁に見られるのが、建築物が法規通りに建てられたことを証明する「検査済証」がないケースだ。これまでは大きな問題になりにくかったが、2025年4月の建築基準法改正(4号特例の縮小)で状況は一変した。法改正により、これまで確認申請が不要だった大規模なリフォームやリノベーションでも、確認申請が必須となるケースが増えたのである。
もし購入した物件に検査済証がない場合、リフォーム時の確認申請において、まず「現存の建物が法に適合しているか」という根本的な証明から始めなければならない。これは、設計図の復元や現況調査など、本来不要な手間と時間を要し、追加費用が発生する要因となる。場合によっては、予定していたリフォームの規模縮小を余儀なくされることもあり、計画そのものが頓挫したりするリスクも考えられる。
<ケース2>きれいなリフォーム済み物件の「見えない」リスク
最近、「リフォーム済み」をうたった中古戸建てを目にする機会が増えていないだろうか。これらは、不動産業者が中古物件を買い取ってきれいに手直しをし、再び市場で販売する「買い取り再販」と呼ばれる事業によるものである。室内はきれいにリフォームされているため、一見すると魅力的に感じられるはずだ。
ただ、そのきれいな内装の裏に、何が隠れているかを想像してみてほしい。買い取り再販はあくまで事業なので、リフォーム費用には限りがあるのが実情である。そのため、購入者の目に留まりやすい壁紙やキッチンは新しくても、いざ住み始めてから問題が起きやすい床下の給排水管などは、古いまま手つかずになっているケースが少なくない。コストを優先するあまり、工事そのものの質が低いという懸念も残念ながらつきまとう。
<ケース3>「耐震等級○○相当」の落とし穴
「耐震等級3相当」といった表示にも気をつけたい。耐震等級とは、2000年に始まった「住宅性能表示制度」に基づく公的な評価である。しかし、認定の取得には費用がかかるため、正式な申請を経ずに「社内基準で等級3相当の設計をしている」とアピールするケースも見られる。公的な裏付けはない。そのため、第三者の専門家が改めて耐震診断を行うと、表示されていた等級の結果が出ないことも決して珍しくないからだ。