パーソナルスペースは
お互いを大切にする「余白」

 お互いのパーソナルスペースに踏み込まないよう、少し距離をおいて話します。

駅のホームでもそれぞれが等間隔に並び、パーソナルスペースをしっかり確保同書より 拡大画像表示

 コロナ禍で「人と話す時は2メートルのソーシャルディスタンスを置きましょう」となった時は、「いつもそうだから何も変わらない」と笑っているフィンランド人もいました。

 しかし、フィンランド人はこのパーソナルスペースの取り方を会話でも生かしている、と感じることがあります。日本では、他の人に迷惑をかけないことが大人のふるまいの1つの条件であると感じますが、フィンランドの場合は、他の人のことに干渉しすぎないことが大人の条件です。

 相手の年齢や家族構成について聞くのは失礼にあたるのと同じように、人の見た目に対してのコメントはしないし、その人が自分から話しださない限り、相手のプライベートを詳しく聞くこともしません。

 なぜなら、人はみんなバックグラウンドが違えば、何で喜ぶか傷つくかも違います。ほめたつもりのコメントや大したことではないと思った言葉がその人にとってはつらく突き刺さることもあるからです。

 このようにフィンランドではお互いの精神的なパーソナルスペースを尊重し、プライバシーを大切にするのがよしとされています。

 ちょうどいいところで人と距離を保つことで、他者に不用意に踏み込まれない安心感が生まれます。それは、自分らしくいられるための余白のようなものです。

 ひとりひとり異なる人生を生きている私たちにとって、お互いを大切にするための余白は必要ですよね。

ホテルクラリオンのサウナ同書より 拡大画像表示