嵩が漫画大賞で再び賞金ゲット!→昭和42年「100万円」の価値は今いくら?【あんぱん第114回】

やないたかしと手嶌治虫の夢コラボがはじまる!?

 八木(妻夫木聡)の会社で身内だけのささやかな受賞祝いが行われた。そこに、のぶたち朝田家と健太郎(高橋文哉)といせたくや(大森元貴)が参加。「ボオ氏、帽子、某氏」はダジャレにしては洒落ていると健太郎は褒める。八木は「おまえはいつも逆境から大逆転するんだ」と嵩への信頼感は絶大である。

 そこへ遅れてきた蘭子(河合優実)。嵩に「おめでとう」と言うのだが、階下に住んでいるのにここでおめでとうを言うのはなんか不自然な気がするが、蘭子は階下に住んでいるとはいえ、仕事が忙しくて交流がなかったようだ。

 八木はすぐさま蘭子を呼んで、オフィスの角に。傘を返したり、新たな仕事を頼んだりする。嵩のお祝いの席で、みんなの見ている前で、傘を返したりして。匂わせ感がプンプン。

 当然、羽多子(江口のりこ)は、「あの人やね」と八木に興味津々。だが、その日はそれ以上の進展はない。

 のぶは「私は主人が賞をとったこと以上に主人が今日も笑っていて、みんなも笑ってる。そんな日々がいとおしくてたまりません。ありがとう」と『サザエさん』の主題歌みたいな挨拶をする。

 やがて、のぶは登美子(松嶋菜々子)に茶道を習い始める。そこへ手嶌治虫(眞栄田郷敦)が訪ねて来た。先日、電話を切られてしまったので直接やって来たのだ。

 のぶは習いたてのお茶を手嶌にふるまう。それを見つめる登美子と羽多子。

 心が落ち着いた手嶌は気を失ってしまう。

「一服もったがやないやろうね」と羽多子。

 手嶌はそのまま茶室で寝てしまい、帰宅した嵩はびっくり。

「やないたかし先生。はじめまして」と挨拶。そう、手嶌は嵩の靴紐を結んだけれど、それが嵩とは気づいていないのだ。

 今度、やる『千夜一夜物語』のキャラクターデザインを頼みに来たのだ。雑誌の表紙の女性の絵に引かれたという。このへんは、やなせたかしの史実をなぞっている。

 手嶌はのぶを「漫画のヒロインのような顔立ちをしている」と指摘。どうやら嵩の描く女性にのぶの面影を見つけたようだ。鋭い。

 このシークエンスで印象的なのは、嵩が手嶌の『ロストワールド』が衝撃的だったと言い、手嶌が喜ぶところ。猫も杓子も鉄腕アトムばかりもてはやすことにうんざりしているところに、違う作品名をあげてもらえるのは嬉しいものだ。

 だが嵩は、そういう経験さえない。代表作がないから。

「必ずやないたかしさんはすごい作品を書きますよ」と手嶌は予言する。それは“あれ”であろう。

 やなせたかしもやがて“あれ”のことばかり言われるようになって、うんざりしていたのだろうか。