なにより、インスタントラーメン(チキンラーメン、1958年発売)やカップヌードル(71年発売)を開発した日清食品の創業者・安藤百福は、1910年に日本統治下の台湾で呉百福として生まれていた。

さらに、その安藤百福にちなんで命名されたと思われるラーメン店「モモフク・ヌードルバー」を2004年にニューヨークで開店し、アメリカのラーメンブームのきっかけを作ったのは、韓国系アメリカ人のデヴィッド・チャンである。
ほかにも、日本式のラーメンを中国に逆輸出し、最盛期の2019年には世界で900店以上を展開した「味千ラーメン」は、1968年に熊本で台湾出身の重光孝治が創業した。1996年に香港の実業家がパートナーになり、味千ラーメンは香港から中国へ進出している。
以上の例からは、ラーメンが日本の国民食になり、さらに世界食へと発展するために、日本以外のアジア系の人々の貢献が大きかったことを確認できる。
こうしてさまざまなルーツを持つ人々によってラーメンがグローバル化されたことは、民族文化の多様性を尊重する「多文化主義」が、食べ物を通じて促進される場合があることを示している。