ですから、どれだけ「今でしょう、思い出作りは」といわれても、多くの、もしくはすべての「定年1年生」にとって大切なのは、なんといっても経済的安定であり、それは今後も変わることはないでしょう。

どんなに生活を切り詰めても
足りないものは足りない

 当たり前のことですが、あなた自身がどれだけ「天使の生まれかわり」と思っていたとしても、またできるだけ「生活を切りつめる努力」をしていたとしても、やはり「足りないものは、どうやっても足りない」のです。

 その結果、仕方なく「虎の子」の退職金や貯金の中から、その足りない分を引き出すことを繰り返すことになります。

 そんなあなたは、いくら他人から「上手な取り崩し方をされていますね」とか、「やりくり上手な人ですね」などとおだてられたとしても、内心ではちっとも嬉しくはないはずです。

 いやむしろ「もう勘弁してよ」とか、「できることなら定年後までお金の心配なんかしたくなかった」と思っていることでしょう。なぜなら、とり立てて贅沢なんかしているわけじゃない、ただ普通に生活を送っているだけなのに、「足りない」と感じるわけだからです。

 それがたとえば、いつも決まって「毎月10万円ぐらい足りない」のだとしたら、そのいわば「固定赤字」が、この先ずっと、それこそ死ぬまで続くのかと考え始めてしまうでしょう。するととたんに憂鬱(ゆううつ)な気分にもなりますし、それと同時に「なんとか無理なく工面できる方法はないものか」と真剣に考え始めもするはずです。

 そしてそれこそが、ついこの間までの「私の悩み」と同じものなのです。

 その時に役に立つのが、なんとか定年退職までに確保できた、「虎の子の2000万円」です。

 これを上手に使って、「できるだけ減らさず」、いやむしろ「少しでもいいから増やしながら」、定年後の生活を送れる方法があるとしたら――あなたが興味を覚えないはずはないでしょう。

なぜ新NISAでは
「毎月分配(受け取り)型」がないのか?

 ご存じの通り、2024年1月から「新NISA」が始まりましたが、とても残念なことに、そこでは、「毎月」分配型の金融商品は除外されてしまいました。

 そのあたりの経緯について、2024年10月18日付の日本経済新聞に、「毎月分配型投信に4600億円 4~9月、流入超 退職世代に需要」と題した記事が出ていますので、ここでご紹介しておきます。