育成5年目・石塚綜一郎。

 石塚は2024年のシーズン途中に支配下登録されると、優勝争いの終盤に、その勝負強い打撃で、試合を決める活躍を見せることにもなる。

4軍なのに大谷翔平が使う最新機器を導入!長谷川勇也と斉藤和巳が育てるホークス「未来の主砲」は誰だ?同書より転載

「やっぱり検定を含めて、長谷川さんと一緒にアイピッチでの練習をしていく中で、僕の中でもレベルが、技術が良くなっている感覚があったんです。長谷川さんも毎回教えてくれるんで、これは続けた方がいいと思ったんです」

石塚綜一郎の活躍が
野球界の未来を左右する

 検定の各段階を突破していく進捗状況は、城所や長谷川がパソコンにデータ入力をしている室内練習場内の小部屋の窓に、プリントされて貼り出されている。だから常に、誰もがチェックできる。

「どうぞ見てください」と城所は、取材後にそのデータを見ることを了解してくれたどころか、資料用として、カメラに収めることも許可してくれた。

 レベル8までは石塚も1回でクリアしているのだが、レベル9は4回、レベル10も3回目でクリアと、つまずきが目立ち始めている。長谷川の判定も「厳しいです」、アイピッチから繰り出される球も「えげつないです」と石塚は笑いながら振り返る。

「最初は検定がメーンというよりかは、アイピッチの練習の中に検定があるという感じでやっていたんです。検定も何回か落ちたりしている中で、克服できているということは、レベルがちょっと上がってきているんじゃないかと、僕の中では思えました」

 石塚のチャレンジは、次第に注目の的になっていた。

「球団の後ろ盾は、結構、強く感じました」

 城所が明かすように、球団も「最新機器」での取り組みを、最大限に生かすという方針を前面に打ち立てていく。石塚の記憶では、2024年2月のキャンプが終わったくらいだという。

沢村賞エース斉藤和巳の配球で
実戦さながらのテストを実現

「最初は、誰もがそこまで重要視していなかったんですよ。そこで、コーディネーターの関川さん(編集部注/元プロ野球選手・関川浩一。2023年の「4軍制」発足にあたってチームは「コーディネーター制」を導入。関川は野手担当となる)が『今年のチームは検定を重視しますよ』と。でも、やらない人もいました。それは個人の自由ですから」