いまや打球速度170キロ超が
バッターの最重要指標になった
いわば、170キロ超という基準は、NPBでは打線の中軸クラスという、ハイレベルの線引きともいえる。
このクラス分けを行った上で、検定に入っていく。
6段階まではストレート限定で、「レベル6」なら、センターから右か左に狙った方向へ6割以上打ち分けるという「2方向打」がテーマだ。
例えば「標準A」なら狙った方向に6割以上打ち分け、引っ張った打球は打球速度125キロ以上が5割以上、逆方向なら打球速度115キロ以上が5割以上、これに最大打球速度140キロを出すことが、クリアの条件になる。
なお、打球速度がやや遅めに設定されているのは、アイピッチでは専用のウレタンボールを使用するため、硬式球より反発力が落ちるためである。
ここをクリアすると、7~11段階は「2球種」の組み合わせになる。
7段階は球速130キロのスライダーを20球。これが11段階になると、ストレートとチェンジアップのミックスで20球。標準Aはこれをフェアゾーン7割、打球速度125キロ以上を6割以上、標準Bは打球速度が135キロ以上を5割以上となる。
これを突破すると、12段階からは3種類以上のミックス。最終の16段階は「1軍主力投手ミックス」で10打席。ここで10打数3安打、標準Bはこれに「かつ1長打」の条件までつく。
2軍の帝王が1軍で苦しむのは
速いストレートが打てないから
「2軍である程度の数字を残せたとしても、1軍で壁に当たる選手は、やっぱり真っすぐが課題なんです。1軍の真っすぐが捉え切れていないという現状が結構見えてきたので、まずは真っすぐを弾き返せるようになろうというレベルから始まっています」
城所収二(編集部注/データサイエンスコーディネーター補佐兼R&Dグループチーフ)が説明してくれたように、選手はただ打ち込むのではない。その段階に応じて、アイピッチの設定条件も厳しくなり、より実戦に則した内容に近づけるよう、細かく、さらに厳しく条件を設定しているのだという。
