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空手競技の「形」と同じように、会話にも「形」がある。新聞記者を33年続けてきた白鳥和生氏は、「ほぐす」「引き出す」「絞る」「広げる」「整える」という、独自の「形」を導き出した。これを知れば、豊かな会話が生まれる。ビジネスに有効なのはもちろん、家庭や友人関係でも活かせる。人生を潤す、聞き逃せないテクニックだ。 ※本稿は、白鳥和生『雑談が苦手な取材のプロが33年続けた 本音を引き出す聞く力』(CEメディアハウス)の一部を抜粋・編集したものです。

いい会話の形というのは
マッサージに似ている

 2021年の東京オリンピックで採用された空手競技の「形(型)」を覚えていますか?選手たちはキレのある演武を見せてくれました。

 私も、聞きたいことを聞くための型を「ほぐす」「引き出す」「絞る」「広げる」「整える」と整理しています。なんだかマッサージみたいですが、新聞記者を30年以上やってきた経験から導き出した型であり、これを習得すれば会話やヒアリングが楽になります。

 私がみなさんにお伝えしたいのは、聞き手が主導権を持ち、こちらが聞きたいことを引き出すこと。相手が積極的に話したくなり、潜在意識に働きかけて言語化してもらうコツ。そしてビジネスの現場、つまり限られた時間という制約がある中で、「聞きたいことを聞く」というテクニックです。

 聞きたいことを聞く技術とは、短時間で信頼してもらい、話しやすい雰囲気を作り、話を引き出していくことです。

 そして聞きたいこと、大切だと思うポイントを深掘りし、聞きたいことが聞けたら、あるいは逸れてきてしまったら、軌道修正し、次の聞きたいことに移っていく。最後は話の内容、細かな点を確認し、また会って話をしてもよいと思ってもらう。そうした流れです。では、型の話の前に次のことを確認しておきましょう。