会話がいまいち弾まない―。その原因はおそらく「はい」「いいえ」で終わってしまうクローズ質問(クローズド・クエスチョン)を多用しているからだと思います。

「米国に進出するのは、○○だからですか」
「はい」

「この提案には賛成・反対のどちらですか」
「賛成です」

 このように「はい」「いいえ」や選択式の質問で会話が成立してしまうと、別の内容の質問に移らざるを得ません。内容を深掘りする質問ができないと、細かなニュアンスの確認ができないまま話が進んでしまいます。クローズ質問は、言質を取ったり選択肢を絞ったりする場合には有効です。しかし、会話を展開していく場合には、役に立ちません。

オープン質問なら
会話が広がり続ける

 聞き上手になるためには、質問が上手になることも必要。質問事項をたくさん用意することも大事ですが、単に質問を連発しているだけでは、コミュニケーションは深まりません。

 クローズ質問に対して、相手から詳細な情報や意見を引き出すのに役立つのがオープン質問(オープン・クエスチョン)です。

 相手に考えや意見を自由に話してもらいたいときは、「最近どんなプロジェクトに取り組んでいますか?」という感じで質問します。すると相手は「新しいマーケティング戦略を立てるプロジェクトに取り組んでいます」「顧客のニーズに合ったアプローチを考えています」といった具合に答えてくれるでしょう。

 反対に「新しいプロジェクトの進捗はどうですか?」と、新しいプロジェクトに限定して質問すると、相手が「はい、予定通りに進んでいます」と答えてしまえば、そこからの広がりは小さくなります。そうなってしまったときは、私なら「予定通りに進んでいる要因はどこにありますか?」あるいは「次のステップに進む上での課題は何ですか?」と続けます。

「クライアントの協力があったからです」「顧客ニーズの分析能力です」といった答えが返ってくれば、「どんな協力ですか?」「これまでのプロジェクトと何が違うのですか?」「分析能力を高めるための具体策はなんですか?」と追加で質問ができ、より深い理解を得られます。

 話の展開を読みつつ、相手の真意や話したいことが汲み取れる内容を引き出す問いを投げかけましょう。難しく考えなくて大丈夫。相手が言った言葉の中から拾っていけばよいのです。