もちろん全員に当てはまるわけではありませんが、もしかすると大きな組織で管理職になると、プレーヤーとして何らかの成果を達成する機会が減ってしまうため、そこから経験する苦労や学びから隔離されてしまうのかもしれません。
逆にスタートアップの幹部は執行役員クラスでもプレーヤーなので、ハードシングスの経験をたくさん持っています。
「この失敗をしてから、人を立場で評価するのをやめました。そうしたら自分の周りに変化が起こり始めて……」
そうした臨場感のある話が、つい最近の出来事として次々に出てきます。この現場感、ライブ感は組織のマネジメントだけではなく、チームや部門の先頭に立ってリーダーシップを発揮し、ミッションを達成していくような仕事の仕方をしていないと出てきません。

最近は減ってきたとはいえ、大企業など組織がしっかりしている会社の管理職になると、人事査定や社内調整のための会議など、内向きの管理業務が仕事の大半になってしまうケースがあります。
納得のいくように部下を査定し、評価を丁寧にフィードバックし、時にはメンバーのご機嫌も取っていく……。それは会社に必要とされる業務であり、皆さんとても忙しい日々を過ごしていますが、市場との接点は少なくなります。そうなると、プレーヤーとしての成長は止まってしまうでしょう。
つまり、管理職として評価される行為を追求していった結果、自分と市場との距離が遠くなり、自分の成長を止めてしまっているケースがあるのです。会社に与えられた仕事だけを忠実にこなしている管理職が、成長が止まるという意味では一番危ういのかもしれません。