年齢は関係ない!脳が若返る生活習慣写真はイメージです Photo:PIXTA

「名前が出てこないのは、脳の老化だ」そう思い込んでいないだろうか。脳神経科学者・毛内 拡氏によると「固有名詞が出てこない」のは脳がよく働いている証拠だという。最新研究をもとに、脳と記憶の関係性について解説する。※本稿は、毛内 拡『最新研究でわかった! くじけない脳のつくり方』(日経ビジネス人文庫)の一部を抜粋・編集したものです。

コンピューターも驚きの
思考のショートカット

 私たちの脳は、すべての出来事をそのまま「記録」するわけではなく、要点やカテゴリーだけを効率的に記憶するように設計されています。

 たとえば、女性で、歌手で、髪型が特徴的で…「スイートピー」とくれば松田聖子ですし、「マリーゴールド」とくればあいみょんです。私たちが記憶しているのは、そのカテゴリーの分類の仕方なのであって、固有名詞が出てくるかどうかはさして重要ではありません。

 こうした記憶の曖昧さは、むしろ脳が不要な情報を排除し、エネルギーを節約している証拠です。直近の出来事がすべて鮮明に思い出せないと不安になるかもしれませんが、これは決して「衰えている」のではなく、脳が効率的に機能するための賢い戦略なのです。

 他にも例を挙げましょう。たとえば、「kで始まる単語と、2文字目がkの単語、どちらが多いか」という問いに対して、私たちは直感的にkで始まる単語を多く思い出す傾向があります。これは、脳がエネルギーを節約しながらも、重要なパターンやカテゴリーを優先的に処理している結果といえます。