魚に含まれるDHAは
アルツハイマー型認知症予防に有効

 さてナッツも良質な脂質を含むが、同等に優れているのが魚の脂肪で「オメガ3系脂肪酸」(以下、オメガ3)だ。つまり、“認知症になりにくい「とっておきの食品」”の三つ目は「魚」である。

 魚嫌いの人にとっては「なーんだ」とがっかりする結果かもしれないが、オメガ3系脂肪酸は脳だけでなく全身に作用し、その効果は絶大。そしてオメガ3系の中でも、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は老化予防の効果が特に強く、医療用医薬品にもなっているほど。

 東邦大学名誉教授で循環器専門の東丸貴信医師によると「DHAは脳を活性化し、EPAは心血管病予防に作用する」という。

「DHAは記憶力や判断力の向上、認知症予防に作用し、特にアルツハイマー型認知症予防に有効という報告があります。一方でEPAは脳まで届きませんが、血液をサラサラにして血管を拡張、血行を促進するため生活習慣病を予防できます。糖尿病などの生活習慣病になると認知症発症リスクが高まりますから、間接的に脳を守ることになるでしょう」

中年期の魚を食べる頻度が
15年後の認知症リスクに影響

 オメガ3関連の研究報告は世界中で膨大にあり、「魚摂取と認知症」の関連を調べたものも多数ある。1週間に魚を食べる頻度と、アルツハイマー病発症率を調べたフランスの調査結果では、魚を週に食べる頻度が多いほど発症リスクが低いことが認められている。

 国立がん研究センターは2021年、「中年期のオメガ3摂取量が、15年後の認知症リスク低下と関連がある」と発表した(※4)。

 《認知症については、魚介類の摂取量が多いほどリスク低下がみられ、最も摂取量が少ないグループ(中央値56g/日)を基準とした場合、最も多いグループ(中央値82g/日)では61%の認知症リスクの低下がみられた》と記される。同研究にあるように、1週間でできるだけ多く、魚80g(1切れ)を食べる日を増やすといいだろう。

 魚料理はいろいろあるが、オメガ3は生でいただくのが最も栄養素の損失が少ない。そのため生の魚に含まれるオメガ3が多い順にランク付けをした。

(※4)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8650.html