緑茶を摂取することで
「少し前の記憶」が目立って改善した

「通常、認知症の方は症状の進行が止まることはあっても、認知機能が良くなるということは起こりにくいです。特に“朝食に何を食べたか”というような、少し前のことを覚えているかを確かめる項目が目立って改善していました」(山田特任教授)

 認知症患者を診察してきた須貝佑一医師(あしかりクリニック副院長)も、「おやつのお供に、また朝起きた時や日中にたくさん緑茶を飲むといいでしょう」と話す。

「緑茶に含まれるカテキンには強力な抗酸化作用があり、全身の細胞の老化を防ぐ働きがあります。ほかにも緑茶にはビタミンCやEなど、抗酸化作用のある成分が含まれ、アルツハイマー病特有の老人斑を減少させる作用があることも報告されています」

 ナッツと同じように、緑茶のカテキンにはコレステロールや中性脂肪値を下げて動脈硬化を予防し、脳の神経細胞を保護する働きがあるといわれる。テアニン(うまみ成分)により心身がリラックスする効果も。

認知機能を維持するため
「食べ方」とは?

 最後に望月氏が、これまでの管理栄養士としての経験から、認知機能を維持するために重要な四つの「食べ方」を提案してくれた。

「(1)楽しい仲間、大勢で食べる、(2)バラエティー豊かな食材を味わう、(3)時には外食をして新しいメニューに挑戦する、(4)自分で料理をする――ことです。偏らず幅広い栄養素を取ることが脳への栄養補給や刺激となりますし、思考力や判断力、細かい手の動きを必要とする調理も、認知症予防に効果的といえます。しっかりかむことも、認知機能を維持する報告が多数あります」

「寿命と性格」について配信した先日の記事では、長寿の傾向にある性格特性の「開放性」(好奇心旺盛)、「誠実性」(意志が強い、几帳面)が高い人が、「食品の多様性に関して高スコアを出している」と記した。長寿の人は、幅広い食材を食べているということだ。

 カレー、ナッツ、魚の中で、いつも食べないものがあれば、まずはそこからチャレンジしたい。