復旧に時間がかかる理由は、単純に壊れた下水道管を交換し、陥没箇所を埋め戻せばよいという問題ではないからです。
まず、地盤を安定化させたうえで、破損した管の応急処置を行い、その近くに新たな管を敷設する計画です。シールドマンという地下を掘り進めながら下水道管を敷設する重機を使うので、地下の地質や地下水の状況を綿密に調査し、崩落を防ぐ方法を慎重に検討する必要があります。

一方で、工事が長期にわたるということは、周辺地域の交通・生活・経済活動への影響も、それだけ長く続くことを意味します。住民の中には、「復旧の見通しが見えないまま不安だけが続いている」との声もあります。
道路が元通りに通れるようになるまで、あとどれくらい待たなければならないのか。近隣の店舗が再開し、子どもたちが安心して通学できるようになるのはいつなのか。そうした問いが、地域の日常の中に根を張りつつあります。
完全な復旧には時間がかかります。しかしその過程で、住民の生活や地域の営みが置き去りにされないよう、進捗の透明性や情報共有、保障の在り方も、併せて問われていくべきです。
いちばんの懸念は、時とともに事故が忘れ去られ、再び同様の事故が繰り返されることです。