1人あたりGDP、世界1位はどこ?アメリカでもスイスでもない「意外な国」の名前写真はイメージです Photo:PIXTA

日本がもう一度豊かになるには何をするべきなのか?世界トップの1人あたり名目GDPを誇る「小国」にそのヒントがあった。※本稿は、関山 健、鹿島平和研究所『「稼ぐ小国」の戦略 世界で沈む日本が成功した6つの国に学べること』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

小国なのに豊か
「強さ」の秘密は?

 ルクセンブルクには、地理的条件、高スキル人材、将来を見据えた産業育成の3つの強さがある。

 ルクセンブルクはドイツやフランスといった大国に囲まれており、国土は山がちで、海に面していない。地理的条件は決して良いわけではないが、周辺国と良好な関係を保っている。

 ベルギーやオランダとはベネルクスを形成し、EUやユーロにも最古参のメンバーとして参加している。周辺国とは陸路で結ばれており交通の便を改善させている。鉄鋼業はオールドエコノミーではあるものの、現在でも重要な産業であり続けている。

 最大の鉄鋼企業はインド企業に買収されているが、周辺国でも原料が採れ、顧客にもなっている。

 ルクセンブルクはIMD(国際経営開発研究所)の世界人材ランキングで第3位にランクインしている。詳しく見てみると、生活の質は第3位、語学力は第5位になっており、外国人が住みやすい環境になっている。

 高スキル人材がルクセンブルクに移り住むだけでなく、周辺国からの越境労働者がルクセンブルク経済を支えている。