ルクセンブルク大学経済学部に金融学科が設置されており、アセットマネジメントなどの高度な金融論を勉強することができる。
日本よりずっと先を行く
産業育成と未来予測
ルクセンブルクは将来を見据えた産業育成を行っている。デジタル化やキャッシュレス化も進んでいる。
金融業は証券業務やプライベートバンキングなどすでに強みを持っているが、新しい分野であるサステナブルファイナンス(編集部注/気候変動や格差、人口減少等の社会的課題の解決に資金を使い、持続可能な社会を実現する金融の仕組み)を整備し、ジェンダーファイナンス(編集部注/お金の仕組みでジェンダー格差を小さくしようとする考え方)などさらに新しい分野にも進出しようとしている。
宇宙分野では、大規模な打ち上げ施設などは持っていないものの、今後の宇宙産業の発展に必要な技術開発や法整備を進めることで国際的なプレゼンスを高めようとしている。宇宙産業はすでにGDPの2%を占めており、単に目新しさを求めているわけではない。
さらに産業振興ではそれぞれの産業の相互関連を考慮している。宇宙産業の発展には投資が必要であり、ルクセンブルクの金融業が役に立つ。
宇宙産業は宇宙に目を向けるだけでなく、たとえば、宇宙で資源を採掘することができれば地上での鉱業を減らすことができるため、地球の持続可能な発展に資するというシナリオも描いている。
このようなシナリオは現実的な時間軸では達成が困難とみられるが、将来に向けた構想としては有望なものだといえるだろう。
ルクセンブルクには以上のような強みがあるが、それに加えて、国際志向も挙げておきたい。
ルクセンブルクが小国であるため国外に市場を求めざるを得ないのは確かであるが、物流網の整備、国外からの人材の呼び込み、資金調達、人材や技術開発、新分野の開拓などの取り組みでは国際的な協力が欠かせない。