宇宙産業の振興もESA(編集部注/欧州宇宙機関。ロケットや人工衛星の開発・運用を行う)などと連携しつつ進めており、自国だけで進めているわけではない。自国だけで進めようとすると、発展スピードが国内のリソースに制限されてしまうため、スピードで他国に後れを取りかねない。
高所得の外国人が若年層の
仕事も家も奪っている現実
ルクセンブルク経済は、労働市場、住宅市場、投資不足、再生可能エネルギーなどの課題を抱えている。
ルクセンブルクの労働参加率や雇用率はEU平均よりも低く推移しており、若年層失業率は高めで推移している。平均的な退職年齢は60歳を下回っており、OECD平均よりも3歳以上低い。IMDのランキングでは、大学教育30位、労働参加率の向上27位、女性の労働参加率57位と労働市場に関する指標は芳しくない。
外国からの高スキル人材の呼び込みには成功しているが、ルクセンブルク人が活躍できる場が不足しているといえる。
一般に、高所得を得る高スキル人材の流入が住宅問題を悪化させる傾向にある。高所得者向けの住宅が外国人で占められるようになると、ルクセンブルク人は中所得者向け住宅に引っ越すようになる。
そうすると、中所得者はより低い所得向けの住宅に引っ越すようになり、最終的には低所得者が締め出されることになる。このような問題はスイスなど他の国や地域でもみられ、外国人に対する悪感情につながることもある。
図表1-3からはルクセンブルクのR&D(編集部注/研究開発)がGDPの1%しかなく、他のヨーロッパ諸国よりも低いことが分かる。

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越境労働者などの要因によりGDPがかさ上げされていることを考慮しても投資不足であるといわざるを得ない。生産性の長期的な改善も課題とされており、将来への不安要素だといえる。