河川のない首都が抱える
CO2削減という難題
再生可能エネルギーの普及にも課題を抱えている。
発電の分野では再生可能エネルギー比率は高いものの、暖房や輸送などを含めた経済全体のエネルギーでは再生可能エネルギー比率は2021年で14.4%にとどまっており、EU加盟国の中で4番目に低い。
最大の要因は自動車中心の交通システムにある。
乗用車の利用が多いことに加えて、首都のルクセンブルク市周辺に大きな河川がないことから水上交通が利用できずにトラック運送の比率が高く、CO2の主要な排出源になっている。
公共交通機関の無料化やパーク&ライドの取り組みを進めているのは、渋滞対策に加えて気候変動対策の側面もある。
EUは2035年に化石燃料車の新車販売の禁止を予定しており、電気自動車や充電設備の普及は喫緊の課題であるといえる。
鉄鋼業もCO2を多く排出している。
鉄鋼の生産には石炭を蒸して作られたコークスを使う。酸化鉄から取り出された酸素とコークス中の一酸化炭素が結びついてCO2が排出される。排出されたCO2の回収や水素還元などの方法でCO2排出を減らす必要があり、技術開発が望まれる。

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優秀な人材を呼び込むには
インフラや法の整備が不可欠
ルクセンブルクは高スキル労働者を多く受け入れている。高スキル労働者は高い給与だけでは惹きつけることができない。
高スキルの人々は生活に対する要求も高いため、劇場などレベルの高い文化施設、最先端の医療が受けられる医療機関、交通の便が良く清潔な住環境、空港などへの快適なアクセス、子どものためのレベルの高い教育機関などの都市インフラも欠かせない。