A氏に関しては、続報を読めばわかるが、事件当日以外に暗躍をしており、芸能人と女性を集めたバーベキュー、タレントと女性を集めたグランドハイアット東京での飲み会など様々な局面で顔を出している。

 そうした流れのなかで、被害にあったというのがX子さんの主張でもある。つまり一部批判にあったような「誤報」では決してない。

 余談となるが、フジテレビ会見で浮き彫りになったのが週刊文春の記事をまともに読んでいない記者があまりにも多いということだ。

 きちんと全記事を読んでいれば、事件当日の経緯は理解できるはずだが、まるで理解していないかのように「(事件当日は)A氏が誘った」というような質問が相次いだことは極めて残念だった。

 話を戻そう。第二の論点として、なぜ訂正する事態が起きたのかを検証したい。

 これはX子さんのトラブルが極めて特殊なケースであるということが理由として挙げられるだろう。

 被害者に守秘義務が課せられており、中居が取材に応じることも会見を開くこともないというなかで、事実が見えにくい状況がまずあった。

 さらにX子さんが当時所属していたフジテレビは、トラブル自体を隠蔽しようとしてきたのである。城壁のなかに真相があるという状態は、かなり難易度の高い取材であったことは間違いない。

 記者には捜査権限のようなものはない。通話記録やログを見ることはできないし、通信機を提出するよう強制することもできない。

 密室のできごとを取材するなかで、当事者の裏取り(証言)ができず、周辺から漏れ伝わってくる情報をキャッチして精査するという作業となる。つまり伝言ゲームによる情報のズレが生まれる可能性は大いにあったのだ。

真偽不明の情報に
文春記者は踊らされない

 例えばX子さんはフジテレビ側にもA氏に対する問題を報告していたとされている。そうした情報が漏れ伝わるなかで、「A氏の会の“流れで”中居に呼ばれることになった」が、伝言ゲームにより「A氏に呼ばれて中居と2人きりになった」と変わっていったというようなことがあった可能性もある。