中居正広Photo:SANKEI

自社番組に出演するジャニーズタレントの性的不祥事を率先して報じ、逆に信頼を上げることになったNHKに対し、中居正広のトラブルで隠蔽体質をさらけ出したフジテレビは崩壊寸前まで追い込まれている。なぜここまで明暗が分かれたのか。そこには、フジテレビの時代錯誤すぎる姿があるという。元文春記者がその裏側を明かす。※本稿は、赤石晋一郎『なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか―元文春記者が見るスキャンダルの裏側』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。

謝罪会見をしないことは
やましさを認めるに等しい

 中居のスキャンダルが大きな関心を呼んだ理由は、彼が国民的タレントであったということとともに、スキャンダルに多くの謎が含まれていたこともその要因だったと思われる。

 守秘義務があり、いまだにトラブルの全容は不明だ。中居の自宅で意に沿わない性行為が行われた、ということくらいしかわからない。

 テレビ局は実権を持つ人間には逆らえない世界だ。中居は業界の大物であり、2人を引き合わせたとされる編成幹部(当時)のA氏も、フジテレビの実力者。そうした構造のなかで若い女性が喰い物にされたということが、事件の概要だとされている。

 元週刊誌記者として気になったのは、スキャンダルが起きたとき、疑惑の人物が自分の言葉で話すのか、話さないのかというポイントである。

 謝罪するときに表に立ち自分の言葉で話す、ということは誠意の表れである。一方で表に出て話すことができないということは、相応の理由があるととらえられても仕方がないだろう。

 つまり、説明できないやましいことがあった、ということを認めるに等しいのだ。松本人志の復帰問題が浮上したときに、民放各社が記者会見を条件にしたのも同じ理由だと考えられる。