それは自分と向き合い、自分を変えることができたからに他なりません。
西武ライオンズに入団して、まわりを見ると超のつく一流ピッチャーがたくさんいました。そのすごさにただ圧倒され「どこかにトレードに出されて、俺のプロ野球生活は終わるのかな」と思っていた3年目の夏、私に転機が訪れます。
クビを宣告された選手の言葉が
卑下する自分を変えてくれた
その夏、私はアメリカのマイナーリーグである1A(シングルエー)に留学しました。1Aは1週間から10日程度の短期契約が主で、結果が出なければすぐにクビを切られます。チームのメンツが目まぐるしく変わっていくなか、私はある日、クビを宣告された直後の選手と話をしました。
すると彼は真剣なまなざしで「自分には能力がある。今回はたまたま結果が出なかっただけだ」と私に言いました。
クビになってなお、「自分には能力がある」と言い切ったその選手を見て、私は衝撃を受けました。そして、「自分を信じることの大切さ」を学びました。
それまでの私は自分のことを「他のプロ野球選手と比べたら、俺なんてぜんぜん大したことがない」と卑下していました。
でも、1Aをクビになった選手の話を聞き、私は自分の生き方、考え方が間違っていたことに気づきました。そこからは「他人は関係ない。自分にできる精いっぱいのことをしよう。誰よりも練習しよう」と思うようになったのです。
私は、試合前のキャッチボールから真剣に取り組みました。他の選手たちが寝静まった時間に、ウエイトトレーニングやシャドウピッチングなどで自分を鍛え、投球フォームの改善にも着手し、誰よりも練習を重ねました。すると、わずか3カ月で球速が10キロもアップ。