こうしたことを中学、高校の頃から続けていたため、私の観察眼は自然と磨かれていったのだと思います。

 西武ライオンズに入ってからも、一軍、二軍、自チーム、他チーム問わず、いろいろなピッチャーを観察していました。すると、

「あの体の使い方は自分にはできていないな」
「あの体の使い方は真似したいな」
「あの変化球はどのように投げているんだろう?」

 と疑問に感じること、参考にしたいと思うことがたくさん出てきます。だから私はその都度、その選手をじっくり観察して、「見て学ぶ」という作業を続けていったのです。

現役時代に培った観察眼は
監督になってからも生きた

 ナベちゃん(渡辺久信投手)が150キロを出したと聞いたら、彼のフォームをチェックして「肘の使い方が自分とは違う」と気づき、参考にしました。

 その他にも郭泰源投手の柔らかくしなやかな投げ方、渡辺智男投手の下半身の使い方など、私が参考にしたピッチャーを挙げたらキリがありません。

 他チームでは日本ハムファイターズの田中幸雄投手(身長が190センチほどありました)の腕を上から振り下ろして投げる伸びのあるストレート(ボールの回転の質がよかった)も参考にさせていただきました。

 現役時代に培った観察眼は、私が監督となってからも生かされました。私が多くのメモを記し、それを選手の成長とチームの勝利につなげられたのは「観察眼=見て学ぶ力」があったからなのです。