自分の体に合う食事は
20代と中年でまったく異なる

 妻の献立を毎日見ているうちに、私もどういった食材が私の疲労回復に適しているか、どういった食べ合わせが胃腸に負担をかけないかといったことを自然に覚えることができました。

 40代になると、腹八分を心がけるのはもちろんですが、意識して油や砂糖を摂取しないようにもしていました(とはいえ、こだわりすぎも精神的によくないので、たまには脂っこいメニューを食べたりもしていました)。

 シーズンオフは体を休める期間でもあるため、内臓にもやさしい食事をとり、コンディションを整えるようにしていました。

 若い頃は体をつくるための食事が必要です。でも、30代、40代と年齢を重ねていったらいいコンディションを保つための食事へ切り替えていくことが大切です。

 30年近く、厳しいプロの世界で私が現役を続けられたのは、若い頃に遊びほうけて人生の崖っぷちに立たされたからかもしれません。妻と出会い、私は自分の生活習慣をあらため、プロ野球選手としての危機感を持つようになりました。

「この世界で生きていくには、自分は何をすべきか」

 どの世界に生きる人であっても、この問いかけはとても重要で欠かせないものだと思います。そのためには、悪い習慣は少しずつ断ち切り、改善をしていかなければならないのです。

3.11の被災者たちが
指導者への道を示してくれた

 プロ野球選手となって約30年。48歳の私は肩の調子が悪く、どこの球団にも所属しないまま1年ほどリハビリを続けていました。その最中の2011年3月11日、日本は「東日本大震災」という未曽有の大災害に巻き込まれました。

 震災後の6月、「何か自分にもできないか」と居ても立ってもいられず、私は宮城県石巻市をはじめとして、いくつかの被災地を訪ねました。グラウンドはまだ整備されておらず、ぐちゃぐちゃな状態です。しかし、私が赴くと100人ほどの子どもたちが集まってくれました。

 1人ひとりに指導をするような状況ではなかったため、私は「俺が投げるから、試合をしよう」と50人対50人の試合を行うことにしました。私ひとりで100人を相手に投げ抜き、試合も盛り上がって終わりました。