実はブッフェには伝統と歴史があり、ルールやマナーも存在している。原型となった北欧料理「スモーガスボード」で推奨されているのは、山盛りにせず、適量を取り、必要であれば何度か取りに行くこと。決して、大食いや早食いをするための食事ではない。配膳式に対して、自ら取りに行くという、食事スタイルのひとつに過ぎない。
現代の進化したブッフェも、アラカルトやコース料理とは違った楽しみ方がある。冷・温前菜から主菜、デザートまでたくさんの料理が並べられており、ホテルであれば40種類くらい用意されていることが多い。
せっかくの機会なので、さまざまな種類の料理を食べてみよう。一口くらいのポーションだけ取って食べてみて、口に合えばもっと取ればいい。普段は注文しないような未知の料理にも気軽に挑戦できる。食わず嫌いが改善され、好きになるかもしれない。
料理を皿に盛る時には、他の料理とくっつかない分量にするのがコツだ。料理がくっついてしまうと、味や温度が混ざり、食味が損なわれてしまう。多く取ってしまうと、食べ残してしまう可能性も高くなる。
温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいまま食べるのが最良なので、ブッフェ台に補充されたらなるべく直後の料理を取りたい。となると席はブッフェ台すぐ側が最適だと思われがちだが、死角ができて見えにくいし、人の往来が激しいと落ち着かない。ブッフェ台からほどよい距離かつ全体を見渡せる席が最適だ。
寿司や天ぷら、ステーキやローストビーフといった実演メニューはぜひ食べたい。臨場感や迫力があり、見ているだけで食欲がかき立てられる。「ボリューム多め」「ソース少なめ」と希望を述べたり、「今日はどの料理が人気ですか」と質問したり、料理人と話ができるのも魅力だ。
日本では食育の一環として、学校でバイキング給食が実施されることがある。栄養のバランスや分量を考えながら取ったり、他の人が気持ちよく取れるように配慮したりと、バイキング給食を通して学ぶことは多い。子どもにとって新しい料理や味覚にチャレンジし、自分に合った適量を知るのは大切なことだ。
冒頭の「一周だけバイキング!!」に話を戻すと、挑戦者たちの“残念なパターン”はいくつかある。複数の料理をてんこ盛りにした結果、見た目はぐちゃぐちゃ、味も混ざっていそうなパターン。反対に、肉だけなど栄養バランスが悪いパターン。仕切りの付いたプレートや小鉢など食器の使い方が変なパターン……。
一方、上級者はまずブッフェ台を一周し、どんな料理があるのか把握してから皿に取り始める。落ち着いて、品数とボリュームをある程度絞り、盛り付けを考えながら周るのがベストな振る舞いだろう。
ブッフェに行く際は、ルールやマナーを守って、残念パターンを回避しながら楽しんでほしい。お店は、『食の秋にオススメ!大阪・名古屋・福岡の「ホテルビュッフェ5選」【写真多数】グルメ専門家が紹介』や『東京でオススメ!「ホテルビュッフェ6選」【写真多数】グルメ専門家が紹介』を参考にしてみてはいかがだろうか。