
2025年2月のホワイトハウスでの、トランプとゼレンスキーとの会談。同席したヴァンス副大統領は、アメリカの支援に対して「この会談を通じて一度でも礼を言ったか」と、ゼレンスキーに声を荒げた。トランプの忠犬としてふるまったのだ。だが、かつてトランプ批判の急先鋒であったという過去を持つ。関税政策にも影響を与えたと言われる、彼の八方美人な素顔を暴く。※本稿は、井上弘貴『アメリカの新右翼:トランプを生み出した思想家たち』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
テックの巨人が選んだ
今後アメリカを牽引する50社
2025年3月、アンドリーセン・ホロウィッツ(編集部注/マーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツが2009年に設立した米国の有力なベンチャーキャピタル会社。2人は、テクノロジーへの無限の信頼を思想のかたちに昇華させようとしている)がワシントンD.C.で、通算して3回目となるアメリカン・ダイナミズム・サミット2025を開催した。
会合のメインタイトルにある「アメリカン・ダイナミズム」という概念を打ち出しているキャサリン・ボイル(編集部注/ワシントンポスト元記者。
ボイルは、停滞という道筋から唯一アメリカを引き戻すことができるのは、アメリカの国益を支える企業を創業しているテクノロジストたちだということを強調してきた。
ボイルにしたがえば、テック業界のスタートアップ企業は、ニッチなところでテクノロジーを追いかけているマイナーな存在ではもはやなく、ビッグテックとともに航空宇宙、インテリジェンス、防衛といった従来であれば政府が主導してきた分野に進出し、政府の活動を緊密に支えるまでになっており、今やテック業界の助けなしに政府は人びとのニーズを満たすことはできない。