(2)謝金
 親の介護のために仕事を休む・働く時間を減らすなどして減収した分を、親から「謝金」としてもらおう。事情があって介護ができないきょうだいがいる場合、そのきょうだいからもらうケースもある。

(3)預かり金
 親の万が一に備え「預かり金」として受け取っておくことは、生前贈与には当たらない。「預かり金」として親との間で覚書を交わし、以降、両親の介護でかかった費用はそこから出し、都度、明細や領収書を残す。両親が亡くなった後、残金があれば相続財産となる。ただし、きょうだいなどと揉める原因になる場合があるため、お互いに納得した上で行うこと。

(4)贈与税の基礎控除
 年110万円までなら贈与税の基礎控除があるため、お金の受け渡しがあっても贈与税はかからない。

(5)代理人キャッシュカード
 親の銀行口座の暗証番号を知らない子どもが、親の預金を引き出すことは容易ではない。

 通帳と印鑑があっても委任状がなければ難しく、親が委任状を書けない状態の場合はお手上げだ。銀行側が、親が認知症になったと知れば、口座を凍結されてしまう恐れもある。

 このことは、夫婦間であっても同様だ。

 こうした事態に備え、親の通帳やカード、印鑑の保管場所や、暗証番号を聞いておくのはもちろん、どこかにメモしておいてもらうのも良い。

 銀行によっては、代理人でも預金を引き出せる「代理人キャッシュカード」を作成しておけるところもあるので、親と相談して作っておくのも手だ。

突然倒れた義母の入院費を救ったのは
部屋のあちこちから発掘された現金

 筆者の義母は、名古屋から川崎市内の同じ区内に呼び寄せてから約8年経った2024年1月、近居していた義母宅で動けなくなっていた。

 訪れたヘルパーにより発見され、救急搬送された後、連絡を受けた夫が病院へ駆けつけると、脱水症状と筋力の衰えによるものと診断され、約2カ月間入院した。

 入院費用は、夫と義姉が義母の部屋から入院に必要な着替えなどを探して持っていく際に、義母の部屋のあちこちから発掘された現金で賄うことができた。