近年の朝ドラの主演女優は、大きく分けると3タイプある。今田美桜や橋本環奈のように、すでに知名度や好感度が抜群に高い俳優が、満を持して主演を務める場合。『虎に翼』の伊藤沙莉や『まんぷく』の安藤サクラのように、やや年齢が高い実績のある俳優が抜擢される場合。そして『べっぴんさん』の芳根京子や『あまちゃん』の能年玲奈(のん)のように、これから大ブレイクする予感のある若手の場合。

 髙石の場合はこの3番目のタイプとなるのだろうが、特に若手の場合は「爽やか」「明るい」といったイメージを求められがちな朝ドラで、代表作が殺し屋と鬼という若手が抜擢されたのは異色といっても良いのではないか。「ばけばけ」というタイトルも絶妙に髙石にマッチしている。

 などと手放しで褒めまくってしまったが、本人にとっても朝ドラ主演はキャリアの転機となるはずで、ファンとしては応援しながら見守りたい気持ちである。

キーパンソンには
大ヒット『国宝』の主演俳優

(2)神がかったタイミングでの吉沢亮出演

 朝ドラといえば豪華な脇役陣も見どころの一つだ。

 今回の場合、まず吉沢亮に注目したい。小泉八雲をモデルとするレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)とトキの接点となる松江の英語教師・錦織友一を演じるのが吉沢亮。キャストとして、髙石、バストウに続く3番目に紹介されているので出番も多いキーパーソンなのだろう。

 吉沢といえば映画『国宝』の大ヒットでぐっと名を挙げたばかり。今年の日本アカデミー賞では『国宝』が複数の賞を取るのはほぼ間違いがないであろうから視聴者からの期待も高く、このタイミングで吉沢を出せるのは、NHKとしてもありがたい巡り合わせだろう。

 そしてトキの父・松野司之介を演じるのは岡部たかし。岡部といえば、1年半前の『虎に翼』でも主人公・寅子(ともこ)の父を演じたばかりである。そのイメージが強いために、今回もまたとぼけたキャラクターで作品に笑いを添えてくれるのかと期待してしまう。