脚本を務めるふじきみつ彦氏の過去の担当作は、NHKドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(2021年)や映画『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』(同)だが、岡部たかしと岩谷健司の演劇ユニット「切実」の脚本も務めている。そのような縁もあっての岡部起用だとすると、本人をよく知っているであろう脚本家の仕事だけに、どのようなキャラクターとなるのかが余計に気になる。

 同じく『虎に翼』に出演し、短い出演シーンながら印象に残る演技をした円井わんや、NHK「未解決事件 File.10/下山事件」で右翼活動家・児玉誉士夫を演じるなど俳優としての活躍が目立つ岩崎う大(かもめんたる)が出演するのも気になる。

『マッサン』や『ゲゲゲの女房』
を彷彿とさせる

(3)過去の人気作との共通点

 設定を聞いてなんとなく既視感を覚えるのは、変異(妖怪・幽霊)を描く夫を持つ主人公という設定が『ゲゲゲの女房』と似ているからだろう。

 そして、外国人の配偶者といえば、『マッサン』を思い出す人も多いだろう。『マッサン』は朝ドラ史上初めての外国人の主人公であり、モデルは「日本のウイスキーの父」と言われる竹鶴政孝とその妻リタ。主題歌の「麦の唄」(中島みゆき)は痛烈に胸に残った。

 外国人の配偶者という筋は朝ドラの流れからするとレアではあるが、『マッサン』で一度経験しているので、そこまで違和感を持たない。これまでにないタイプとも言える主人公・髙石あかりとの組み合わせを考えても、面白いと感じる。

 ちなみにトミー・バストウは、真田広之主演のドラマ『SHOGUN 将軍』にも出演しており、共演した穂志もえかに教えてもらって、このオーディションの存在を知ったのだという。

 主演の髙石あかりをはじめ、旬のキャストや脚本の工夫など、見どころが盛りだくさんの「ばけばけ」。タイトル通り、不思議で愛おしい世界をどのように描いてくれるのか。楽しみに視聴したい。