パシニャン首相は、ロシア離れをさらに加速させます。
2025年1月9日、アルメニアは、EU加盟交渉の開始に向けた法案を閣議決定し、法案を議会に提出することを承認。軍事同盟国でありながら平気でアルメニアを裏切り、見捨てたロシアからEUに向かう姿勢を鮮明にしたのです。
弱体化したロシアを横目に
中国は中央アジア進出を目論む
次に中央アジア地域を見てみましょう。中央アジア諸国は、ウクライナ侵攻で弱体化したロシアから離れ、中国に接近しています。
2023年5月、中国西安で「中国・中央アジアサミット」が開催されました。ここで、「中国・中央アジア運命共同体」を構築することが宣言されました。
〈19日には「中国・中央アジアサミット西安宣言」が発表された。今後の方向として、参加国は中国・中央アジア運命共同体の構築に向けて協力するとされた。また、サミットは2年ごとに開催し、中国と今回参加した5カ国のうち担当となる国が交代で主催するとした。常設事務局設置についても検討する。その他、2023年にウズベキスタンで食糧安全保障に関する国際会議を開催するとした〉
「JETRO」2023年5月23日付。
「JETRO」2023年5月23日付。
これは、「驚くべきこと」といえるでしょう。
中央アジア諸国は「旧ソ連国」であり、これまで「ロシアの勢力圏」と思われてきました。ロシアと中国は、反アメリカの「事実上の同盟国」です。それで、中国はこれまで、「中央アジアはロシアの縄張り」と認め、尊重してきたのです。
ところが、ウクライナ侵攻でロシアが弱体化しました。それを見た中国は、「中国・中央アジア運命共同体」構築を宣言しました。弱くなったロシアから、露骨に中央アジアを奪いにきたのです。
そして、ウクライナ侵攻で弱体化しているロシアには、中国の横暴を止める力がありません。
緩衝地帯を守ろうとしながら
次々に失ったプーチンの誤算
まとめてみましょう。
旧ソ連圏のうち、バルト三国は元から反ロシアである。