
中学受験は「親子の受験」と形容されることがある。すなわち、わが子の中学受験勉強に親が「伴走」することが必須であるということだ。それならば、共働きで両親が仕事で慌ただしくしている家庭の子は中学受験で不利を被るのだろうか。中学受験専門塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏が語る。
中学受験の主役は子ども
しかし、親が関わることは必須
中学受験は親子の「二人三脚」と言われるが、果たしてそうなのだろうか。わたしは「半分正解で、半分不正解」だと考えている。
「正解」としたのは「わが子を塾に託してあとは放置」では、中学受験は乗り越えられないからである。
塾通いがスタートしたばかりの頃は、保護者が宿題の進捗状況などを適宜確認、アドバイスをすることが必要になってくる。また、受験学年(小学校6年生)になれば、受験校選定に保護者がかかわることが必須になる。
保護者はわが子の性格や趣味趣向を知り抜いているからこそ、どの学校ならわが子が楽しく通えるか、充実した学びを享受できるか……そういった的確な判断を下しやすい。
それ以外にも、わが子の体調管理だったり、精神の不安定さを支えたりなど、保護者だからこそわが子の中学受験のためにできることは山ほどある。
一方、「不正解」としたのは、中学受験の主役はあくまでも「子ども」という点を考えたからだ。日々塾通いするのも、受験勉強に専心するのも、入試本番に臨むのも、合格した学校に進学して中高6年間の生活を送るのも、すべて「子ども」である。
また、どこかの塾のキャッチフレーズで「やる気スイッチ」というのがあるけれど、そのスイッチを保護者や塾講師が直接押すことは決してできない。そのスイッチを入れられるのは子ども本人だけである。