コーヒーが水分補給になる人
ならない人の決定的な違い
「コーヒーを飲みなれている健康な成人で、適量であれば、水分補給になる可能性はあります」と竹田先生は言う。
確かにカフェインには利尿作用がある。しかし、飲みなれることで、カフェインに耐性ができ、利尿作用が弱まるそうだ。
そして、実際、2014年に英バーミンガム大学スポーツ運動科学部の研究チームが興味深い実験に関する論文を公開している。
実験に参加したのは日常的にコーヒーを飲む男性(1日当たり3~6杯)50名だ。この50名を、1日当たり4杯のコーヒー(1杯200 mlのブラックコーヒー)を飲むグループと水を飲むグループにわけ、3日間にわたって、データを取り、比較したところ、体内の水分量に有意差は確認されなかった。研究チームは、コーヒーを飲みなれている男性について、適量のコーヒーの摂取であれば、水と同様の水分補給の効果があることが示唆されるとしている(※2)。
この結論を支持する研究報告もあり(※3)、どうやら、コーヒーを飲み慣れている健康な成人で、適量の範囲内であれば、コーヒーによる水分補給は可能であると考えてもよさそうだ。
「普段、コーヒーを飲まない人が急に飲むと利尿作用が強く出る可能性があるので注意が必要です」と竹田先生は注意を促す。
先ほどの英バーミンガム大学の論文では、普段コーヒーを飲まない人(カフェイン・ナイーブ)に対してカフェイン飲料の利尿作用が確認されたとしている。また面白いことに、コーヒーを習慣的に飲む人であっても、試験開始前に4日間のコーヒー断ちを行うことで、カフェインの摂取による利尿作用が観察された。
ただいずれにしても適量を守る必要がある。内閣府の食品安全委員会のファクトシートによると、健康に悪影響がないカフェインの最大摂取量は1日当たり400mg程度とされている。
このカフェインの量はコーヒーカップ4~5杯程度のコーヒーに含まれるカフェインの量に相当する。なおこのファクトシートは海外の主要なリスク評価・管理機関等におけるカフェインの摂取基準に関する状況などを食品安全委員会がまとめたものである(※4)。