健康な成人において、1日にコーヒーカップ4~5杯程度あれば、特に健康上問題はないとする研究報告が多いようです。ただし個人差もあるため体質や体調に合わせて飲んでください」と竹田先生も言う。

 もちろん、コーヒーの濃さによって杯数が変化する点も注意が必要だ。先ほどのファクトシートだとコーヒー1杯あたりのカフェイン量は、約80mg〜100mgで計算されている。杯数を数えるときは、同程度の濃さであることも確かめておきたい。

 ただ、痛風や腎臓病など何らかの疾患を抱えている人は注意が必要になる。

「痛風など脱水症状によって、病状が悪化が懸念されるような場合には、カフェインの摂取が制限される場合があります」と竹田先生は注意を促す。

 つまり、コーヒーは「水分補給になり得る」が「水と完全に同等」とまでは言えないということだ。何らかの疾患を抱えている人は必ず主治医に相談するようにして欲しい。

コーヒーで水分補給が
NGとなる状況

 ところで、竹田先生によれば、コーヒーを飲みなれた健康な成人でも、状況によっては、コーヒーによる水分補給を避けた方がよい場合もあるという。

「気温が高いときには注意が必要です。特に気温が高いときに屋外で作業するような場合には、脱水症状を起こしやすいので、コーヒーによる水分補給は避けた方がよいでしょう。また、同じ理由で、運動中にコーヒーで水分補給するのも避けた方がよいでしょう」

 コーヒーによる一石二鳥の水分補給は空調が効いた涼しいオフィスでの仕事中にしておいた方がよさそうだ。

「とにかく汗をかきやすい状況では、コーヒーによる水分補給は避けたほうがよいでしょう」と竹田先生。

 最後になったが、急性カフェイン中毒にも注意が必要だ。急性カフェイン中毒は短時間に大量のカフェインを摂取することで発症する。日本医師会のホームページによると、短時間に11~33杯のコーヒーを飲むと発症する危険性が生じるという(※5)。

「動悸、血圧の上昇、不安、不眠、吐き気、下痢などの症状があらわれます」と竹田先生は解説する。

 症状が強く表れている場合には、命にかかわる場合もあるので、迷わず医療機関を受診していただきたい。

 いずれにせよ、適量を守ることが大切だ。

【参考資料】

※1 厚生労働省「健康のため水を飲もう講座」
※2 Killer, S. C., Blannin, A. K., & Jeukendrup, A. E. (2014). No evidence of dehydration with moderate daily coffee intake: A counterbalanced cross-over study in a free-living population. PLoS ONE, 9(1), e84154. 
※3 Maughan, R. J., Watson, P., Cordery, P. A. A., et al. (2016). A randomized trial to assess the potential of different beverages to affect hydration status: Development of a beverage hydration index. The American Journal of Clinical Nutrition, 103(3), 717–723. 
※4 食品安全委員会のファクトシート(内閣府)「食品中のカフェイン」
※5 健康ぷらざPlus「カフェイン中毒」