
優勝するために必要なのは、勝負強さか、打撃力か、はたまた守備力か?プロ野球ファンなら一度は考えるテーマだが、その答えを宮本慎也がズバリ導き出す。※本稿は、宮本慎也『プロ視点の野球観戦術 戦略、攻撃、守備の新常識』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
接戦に強いチームが
優勝するという幻想
勝負事には「戦略」と「戦術」の組み立てが大事です。簡単に説明すると「戦略」は大局を見てどうするのかの方針で、「戦術」は目先の作戦といったところでしょう。
例えばシーズンを通して機動力を生かした野球を実践し、相手にプレッシャーをかけていこう、という「戦略」を立てたとします。それなら絶対にアウトになってはいけない場面でも走れます。アウトになったとしても、「こんな場面でも走ってくるのか」といった圧力をかけられます。長いシーズンを考えれば、そういうプレッシャーは大事です。
そして「戦術」とは、「相手が警戒していないから走れ」といったような、目先のプレーの組み立てを指します。
ちまちまと1点を取りにいく野球で「緻密な野球」をするより、大量得点を狙って大勝を狙っていく。それが「戦略」としてあれば、大胆な攻撃ができます。
統計的に接戦に強いチームより、大勝して勝つ試合が多いチームが優勝確率は高いのなら、攻撃力が大事です(編集部注/セ・パの直近10年で、1点差ゲームの勝率が最高のチームが優勝したのは6回。対して3点差ゲームで最高勝率を記録したチームが優勝したのは16回、5点差ゲームでは13回優勝している。序盤に大量リードを奪えると、投手の疲労を軽減することができたりさまざまなメリットがある)。