島根県出身の佐野史郎
司之介は県知事・江藤(佐野史郎)の邸宅に牛乳を配達に行ったついでに、家に上がり込み、いい婿はいないですかと尋ねる。
牛乳配達に来るだけでも厚かましいのに、江藤の御子息とトキを見合いさせようとするなど言語道断な時代なのだ。
世が世なら、司之介は上級武士だが、いまやただの庶民(それも下流)。県知事に近づくことは許されない。
佐野史郎は島根県出身で、小泉八雲にも造詣が深く、八雲の怪談の朗読なども行っている。ちなみに筆者は、京都下鴨神社と滋賀県清凉寺で行われた朗読を聞きに行っていた。そのとき、まさか小泉八雲と妻をモデルにした朝ドラができるなんて思ってもみなかった。感慨無量である。
フミはタエ(北川景子)を訪問し、縁談の相談をする。
ふたりの間に柱が立って、武士の時代が等しく終わったとはいえ、豊かに暮らしているタエと貧しいフミの間を何かが分断しているように見える。
タエがすでに見合い相手を探していると聞いて、フミは「それならそうと先にお伝えいただきたかったと。あの子の母親としましては」とあくまで穏便に、でもどこかわだかまりがあるような表情で返す。
それを聞いたタエの横顔は、口を少しだけ開けてゆっくりと息を飲んだようになる。はっ! という電撃ではなく、あくまで静か。自分のなかでフミの気持ちを噛みしめるようだ。
そしてうなだれながら謝る。
フミとタエの間の柱のように、ふたりの間には何かがあるような気がする。
工場では、せんの結婚が決まって大喜び。
三之丞(板垣李光人)が来ていて、八重垣神社の恋占いは当たるからこそ自分はやりたくなくて「ひとの見て、ドキドキするだけ」と語り「乙女〜」と女子たちと盛り上がっている。
女性のなかにひとり交じるオタサーの姫の逆パターンの男性ってたまにいる。
トキは「占いどおり。おめでとう〜」とニッコニコで祝福するが、おせんたちからクルリと背を向けると、目が座っている。そのまま、たすき掛け。たすきをくわえる歯にも妙な力がこもっているようだ。
そして目がこぼれそうだ。第6回はトキの固まった表情を存分に愛でる回だった。
女子に囲まれていた三之丞は、工場にいることを兄にとがめられる。
ちょうどどこに傅(堤真一)がやって来た。
女子工員たちにはニコニコしているのに、その横を去っていく三之丞には見向きもしない。
三之丞は雨清水家の三男坊。父との間に何かがありそう。
タミも傅もいい人に見えるのだが、雨清水家にも人知れず問題がありそうだ。
