YANGWANG U9は、ラグジュアリーSUVであるU8とともに2023年に正式発表された2シータースポーツモデル。U9 Xtremeは世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームを搭載し、30000rpmモーター4基で総出力3000馬力超を実現しています。冷却システムは大流量オイルポンプと立体的モーター冷却方式を採用。システム総効率を従来比で133%も向上させたことで、ピーク性能を安定的に維持できるようになったそうです。

 ブレーキは新開発のチタン合金カーボンセラミック制動システムを採用。タイヤは2024年のニュルブルクリンクおよび最高速試験データを基に佳通タイヤと共同で開発した専用のセミスリックタイヤを装着しています。

BYDの軽EV、どこまで本気?→フェルさんもビックリした日本法人社長の答え「そこまでお考えとは…」新開発ブレーキ(広報写真)

1970年代のスーパーカーは“夢の時速300km”だった

 1970年代に沸き起こったスーパーカーブームでは、300km/hというスピードを夢のように感じていたもの(実際のところ、当時のクルマは300km/hに達していなかったようですが)。

 2005年、W16気筒に4基のターボを搭載するブガッティ ヴェイロンが400km/hを超える最高速度(407.1km/h)を打ち出したことに驚愕しました。2010年にはヴェイロン 16.4 スーパースポーツが431.072 km/hで量産車世界最高速記録を樹立。またギネスには掲載されていませんが、ヴェイロンの後継モデルであるシロンはプロトタイプで時速300マイルオーバーとなる490.484km/hを計測しています。

 2020年にはシェルビー・スーパーカーズのトゥアタラが最高速度508.73km/hを計測。ただ、この記録は後に撤回されました。その後、トゥアタラは455.3km/hを記録。これが現在の市販車の世界最高速度となっています。

 最高速度として認定されるためには、同じコースを反対方向にも走り、その平均を取る必要があります。YANGWANG U9 Xtremeの記録は一方向のみの計測なので、最高速度記録リストには載らないようです。それでもドイツATP認証の下で計測された数値で、シロンの記録も上回っています。

「YANGWANG U9 Xtreme」最高速度496.22km/hを記録したスーパーカー「YANGWANG U9 Xtreme」。EV世界最速の新記録となる(プレスリリースより引用)

 前述の通り、YANGWANG U9 Xtremeは、ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157というタイムを記録しています。これまでのニュルブルクリンク北コースでの記録を調べてみると、

市販車最速:メルセデスAMG ONE 6分29秒090
FF車最速:ホンダ シビックタイプR 7分44秒881
コンパクトカー最速:BMW M2 CS 7分25秒500

といったところです。市販車で初めて6分30秒の壁を破ったメルセデスAMG ONEには届かないものの、YANGWANG U9 Xtremeの6分59秒157というラップタイムがいかに速いか、おわかりいただけるのではないでしょうか。

(AD高橋)

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