解剖なしで死因を明らかにしようとする方法の一つに死亡時画像診断(オートプシー・イメージング=Ai)がある。
海堂尊先生の小説『チーム・バチスタの栄光』で有名になったが、画像診断はあくまで原理的に「影絵」であり、「どこに異常があるか」は相当程度わかっても、「それが何か(何が起こったか)」まで迫るのは難しい。
デ・コック先生は、HIV感染症で亡くなった患者さんたちの解剖によって、結核その他の、(わかっていたら)対応できる併発感染症が高頻度で起こっていることが判明し、その後の対策に役立ったという例を挙げている。
これは生前や死後の画像診断ではわからない。「亡くなってしまった」患者さんのお役には立たないが、そうしたことが「次の患者さん」へつながる。だから我々は遺族に対して「お願い」をするのだ。
注意すべきは、眼前の1例の解剖からは、そこで「何が起こっていたのか」は解明できても、「どうしてそうなったのか」は、わからない。
だから、「この患者さん」の死因は明らかになり、それはそれで意義があるが、上記のHIV感染症の例のような病態の解明のため、即ち「次」につなげるためには不足である。
コロナワクチンの死亡事例で
解剖されたのは10分の1以下
そして今は、HIVに代わって「新型コロナ」がパンデミックとなった。
重症例が呈するのは気道感染所見のみではなく、心筋炎とか血栓症とかの循環器系の病態も問題になっている。この解明と対策のためには病理解剖での検索は必須である。
もう1つ、ワクチンの副反応がある。
ワクチン開始から2022年7月10日までに報告された接種後の死亡事例は1780件あるが、因果関係が認められた事例はない。ほとんど全て「情報不足で評価できない」である。
名古屋大学の小島勢二先生は厚労省の資料から、死亡報告事例1690人分の概要を調べたそうだ。1690人中病理解剖されたのは115件で、うち28件は、病理医が因果関係ありと報告したが、厚労省の判定は全て「情報不足で評価できない」だった。







