「私は食ですね、ご飯を食べたりすることで自分へのご褒美というか、スイーツを食べたりすることで体力も心も回復します」
小泉セツを知るために折にふれて読むもの
「トキと私はすごく似ている気がしていて」と言う高石さん。
「ドラマのなかの逆境が自分にも投げかけられている問題のような感じがあって。そういうとき、いろいろな感情が湧きながら、落ち込んでいる場合じゃない。それよりも生きていかないといけないと思うんです。
ときには落ち込むというか、考えることももちろん大切だけれど、その前に自分のみならず家族も助けないといけない。やらないといけないことはきっと目の前にあって、ただそれをやるしかない、というような考えが根っこにあるのかなと思います」
元気をチャージすることで再び課題に向き合う。高石さんはタフでガッツがある俳優だなと感じる。代表作の映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで演じた殺し屋も、狙った獲物は決して外さないキャラだった。アクションも機敏でかっこよかった。
『ばけばけ』の松野トキは小泉八雲の妻・セツをモデルにしているが、髙石さんが感じる、小泉セツとはどういう人だろうか。
「夫の小泉八雲さんがどういう人柄だったかわかる資料はたくさんありますが、妻のセツさんについて書いてあるものは八雲さんに比べると少ないんです。
とくにセツさんがどこで生まれどういうふうに育ったかの歴史ではなく、人柄みたいなものが書かれたものがなくて。それを知りたいと思った時に、私はセツさんが書いた『思い出の記』を読んでいます。
セツさんから見た八雲さんのことが書かれている本で、例えば最後の八雲さんが亡くなった時、『あっけなかったです』と書いてあります。書き方はすごくあっさりしているけれど、私はものすごく強い感情を受けました」
あっさりした言葉のなかに言葉以上の感情がある。高石さんはトキのモデル・セツさんの感情を知ろうと『思い出の記』を折にふれて読んでいる。そこで感じた小泉セツから、導き出したトキの人物像とは?