「中途半端な移民政策」がもたらす課題

 日本政府は「日本は移民国家ではない」と繰り返し表明している一方で、現実には労働力不足を背景に、実質的な移民政策を進めているような状態だ。「中途半端な移民政策」や受け入れ後の「放置」問題により、外国人の孤立を深め、治安などの問題を引き起こしている。言い換えれば、政治の怠慢だ。在日外国人の中で、特に日本語の習得と生活情報の取得に困難を感じる人が多い、というのは別記事でも書いた通りだ(参考記事)

 ここ数年、日本社会では「外国人が日本のルールを守らない」という反発が強まっており、外国人ヘイトを隠さない人もいる。もちろん、そうした人は日本人の中でも一部なのだろうが、こうした動きを誰よりも肌で感じているのは、実際に日本で暮らす外国人(中国人に限らず)自身だ。

 多くの在日中国人の間では「ぜひとも、新総裁の高市氏には強いリーダーシップを発揮していただきたい。これまで放置してきた政策・制度を見直し、移民政策としての明確な基本方針を策定してほしい。例えば、『どの分野で、どのようなスキルを持つ外国人を、どの期間、どの条件で受け入れるのか』を明文化する、さらに受け入れ後の支援体制の強化など、しっかりと舵をとって進めていただくことを望む」という声が多い。

 高市氏は当選早々、さまざまな課題に直面している。そんな中で、どんな外交をするのか、外国人との共生社会の構築にどんな手腕を発揮するのか、多くの中国人が注目しているのである。

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