韓国から撤退したUber Eats

 反対に、Uber Eats(ウーバーイーツ)は韓国から撤退しているのだが、この経緯が興味深い。韓国では2017年11月にサービスを開始したが、2019年10月に早々と撤退した。韓国ではすでに「配達の民族」「ヨギヨ」「クーパンイーツ」などのデリバリー・サービスが根付いており、その牙城に食い込めなかったのだ。

 韓国では、配達時間のスピード、できたての熱々や冷たさの提供が重視されている。これには韓国特有の「パリパリ文化」が影響している。パリパリとは韓国語で“早く早く”の意味だ。社会全体で何事にもスピード重視でせっかち、早く効率的に進めるのが良い、という価値観がある。一例を挙げれば、バスが完全に停車する前にドアが開いたりする。

 日本とは異なる価値観だが、そう考えるとかつてクーパンが日本進出に失敗した理由も説明がつく。日本では、百貨店や100円ショップの商品を今すぐ即座に配達してもらう必要性はほぼない。この点を見誤ったために、クーパンのクイック・コマースは根付かなかったのだ。

競合他社への影響

 ロケットナウの進出で、デリバリー・サービスの出前館とWoltも実質的な値下げ競争を開始し、追随しはじめた。これはロケットナウ同様に、デリバリーでの提供価格と一部の店頭価格を同価格にする取り組みだ。

ロケットナウで利用できる飲食チェーン(公式サイトより)ロケットナウで利用できる飲食チェーン(公式サイトより) 拡大画像表示

 現在、日本で大規模な広告を打ち、配送料0円をうたっているのは、赤字覚悟の先行投資型戦略であり、前述のロス・リーダーであると見るのが妥当だろう。日本でも知名度を上げ、シェアを取れれば、韓国と同様に月額メンバーシップ(サブスクリプション制)に移行していくはずだ。

 はたしてロケットナウは日本でも、Uber Eatsなど、先発のデリバリーサービスを追撃できるのか。ロケットスタートで、スピード感ある躍進に期待したい。