そして、メタボのさらに上流で最初のドミノになるのが糖質の過剰摂取(糖質過多)であり食後高血糖なのです。そう考えると、糖質過多と食後高血糖を避けられれば、メタボリックドミノが倒れていくのも防げることになります。
血糖値の乱高下は食べ過ぎの
悪循環に繋がってしまう...
では、血糖値はなぜ上がってしまうのでしょうか。
血糖値とは、血液の中を流れるブドウ糖(グルコース)の濃度のことで、ブドウ糖は白米やパンなどに含まれる糖質(でんぷん)が分解されたものです。
そして、3大栄養素である糖質、たんぱく質、脂質のうち、食後の血糖値を上げるのは糖質のみです。したがって、高血糖を解消するためには糖質の摂取量を管理すればいいわけです。
誰もが食後には血糖値が若干上がりますが、問題はその上がり方です。急激に上がると、その反動で急激に下がる。これを「血糖値スパイク」と言います。
血糖値の乱高下はそれ自体が酸化ストレスを生みますし、血管に負担をかけることで、毛細血管の障害や動脈硬化症につながると見られています。また、血糖値の激しい上下動は認知機能の低下を招くことも分かっています。
さらには、血糖値が急激に下がると、低血糖にならないようにと脳から危険信号が発せられ、強い飢餓感が生じ、結果、エネルギーの過剰摂取や肥満にもつながります。
そこで血糖値を気にして多くの人は食べ過ぎを止める、すなわちカロリー制限に努めようとします。日本には糖尿病およびその予備軍が2000万人いて、40歳以上の人に限ると3人に1人がそうだとされています。
かつては私も、医師として患者さんにカロリー制限を指導していました。しかし、同時に“引っかかり”を感じてもいたのです。
まず、始めて3カ月から6カ月の期間であれば、カロリー制限によって体重が減るなどの効果が出ます。しかし、その期間を超えると必ずリバウンドが生じました。「我慢」は長続きしなかったのです。
また、77歳の患者さんが、ある時、浮かない顔をしてこうこぼしました。