組織が行う「♯(シャープ)型人材」の育成方法

「♯(シャープ)型人材」の従業員が増えることは、個人のみならず、企業にも大きなメリットをもたらします。それゆえ、企業は個人の自助努力にのみ頼るのではなく、個人の取り組みを後押しすることが重要となります。企業が考慮すべき支援施策として、私は以下の4つをあげます。

 1つ目は、社内兼務(ダブルジョブ)やジョブローテーション(出向含む)の推進です。従業員が複数の部署で専門性を磨く機会を提供することです。例えば、営業部の社員がマーケティング部のプロジェクトに期間限定で参画するなど、部署を横断した役割を担わせることなどです。

 2つ目は、社内メンター制度の導入です。経験豊富な先輩社員が若手社員のキャリア形成をサポートすることです。この際、単に業務知識を教えるだけでなく、コミュニケーションや課題解決のプロセスを共に考え、相互に学ぶ姿勢が重要です。

 3つ目は、リスキリング休職制度です。業務に関連した専門スキルを集中的に短期間で身につけるため、一定期間の休職をして勉強に専念することを認める制度を策定・推進することです。かつて私が所属していた企業にはテーマ休職制度があり、リスキリングのために活用しました。リスキリングに関して政府も支援体制の拡充に向けて動いていますが、企業特性に応じたリスキリング休職制度の策定が効果的だと私は考えます。

 4つ目は、「活私奉公型パラレルキャリア」などの社外活動の推進、評価、還元システムの構築です。 従業員が「活私奉公型パラレルキャリア」を実践することを推奨し、その活動を評価する人事制度や、得られた知見を社内に還元する仕組みを構築することです。