“♯(シャープ)型人材”が組織にもたらす効果
企業は、個人が自律的に成長するための土壌を提供し、個人は、その土壌を最大限に活用して自己を磨き続ける――この相互作用こそが、企業と個人の双方に「成長を軸とした安定性」をもたらすといえるでしょう。
“♯(シャープ)型人材戦略”を組織全体で推進することは、単に個人のスキルアップにとどまらず、組織文化そのものに変革をもたらす可能性があります。予想される効果を3つあげます。
1つ目は、組織の流動性効果です。2つの専門スキルと2つの横断スキルを持つ「♯(シャープ)型人材」は、部署異動や職種変更にも柔軟に対応できます。これにより、企業は事業環境の変化に応じて、より迅速かつ効果的に組織を再編することが可能になるでしょう。
2つ目は、イノベーション促進効果です。異なる専門性を持つ人材が、横断スキルを介して協働することで、既存の枠組みを超えた新たなアイデアやソリューションが生まれやすくなります。特に、社外活動で得た知見が組織内に持ち込まれることで、「組織外の知」と「組織内の知」が融合し、予期せぬイノベーションが創出されることが期待できます。
3つ目は、エンゲージメント向上効果です。従業員は、自身のキャリアを自律的に築き、多様な経験を積む機会を得ることで、仕事へのモチベーションが高まります。また、会社が自身の社外活動を支援し、評価してくれることで、会社への帰属意識も高まります。これは、離職率の低下にもつながるでしょう。