すると相手はどうするか。裁判を仕掛けられた際の対抗策は3つあります。

1.逃げる
2.ごねる
3.つぶす
 です。

 逃げるというのは、裁判で「うちのは特許のやつとちょっと違います」と言ってかわすことです。また、設計変更をして、実際に特許の侵害にならないようにすることもあります。

 ごねるというのは、ネゴシエーションです。ライセンス料を値切ってきたり、他社にライセンスしないで独占にしてほしいなどと交渉してくる可能性があります。

 つぶすというのは、特許を潰しにかかってくるということです。

 具体的には、無効審判や異議申し立てという行政手続きで無効化したり、裁判の中で特許が無効だと主張し、特許が最初からなかったことにしてしまうのです。

 ちゃんと審査された特許が潰されるなんて?と思うかもしれませんが、じつは、無効審判の成立率は意外と高く、当時、40%前後でした。

 大きな企業にとって、無効審判は挨拶代わりのようなものです。僕が、Google、Microsoft等の各社にライセンスを要求したら、ほぼ確実に無効審判を請求されるでしょう。各社へ裁判を仕掛けないといけないのに加えて、各社から無効審判や裁判を仕掛けられたら、たくさんの戦場でたくさんの敵と戦わなければいけません。

 ライセンスを持ちかけるというのは、この1、2、3を複合的にやられるということです。

特許無効審判の成立率同書より転載 拡大画像表示

特許を売るのが
一番安全かも?

 特許を売ってしまった場合はどうでしょうか。マネタイズの機会は1回だけになりますが、大きな金額を得られる可能性もあります。また、自分のものになるかもしれない特許を潰してくる企業はないでしょう。訴訟や無効審判の可能性は減ります。