マイホーム購入による
ランニングコストとリスク

 多くのサラリーマンにとって、マイホームは人生最大の買い物だろう。マイホームの購入時には不動産への課税も負担する必要がある。不動産取得税・登録免許税・印紙税などの税金がかかり、さらに購入後は固定資産税という「ランニングコスト」がかかってくる。マンションの場合は、いずれ発生する修繕に向けて修繕費を積み立てていく必要もある。

 住宅ローン減税に頼れば多少の軽減はあるものの、将来的に制度が縮小される可能性は否定できない。さらに懸念すべきは金利上昇だ。超低金利は徐々に崩れつつあり、返済額が膨らむリスクもある。特に変動金利型を選んでいる場合は家計を直撃しかねない。

 マイホームは「住むための場所」であると同時に、「ランニングコストやリスクを抱える資産」である。ただでさえ都心部を中心に不動産価格は上がり続けており、これではマイホームなど到底購入できないという声もある。

地価上昇で高まる
不動産の相続リスク

 固定資産税は相続にも影を落としている。地価の上昇がそのまま相続税評価額を押し上げ、都心に自宅を所有しているだけで課税対象になる家庭は珍しくない。かつては富裕層の問題だった相続税が、いまや普通のサラリーマン世帯にも迫ってきている。

 さらに、相続税は一度の納税で終わるものの、固定資産税は毎年続く。相続した不動産を手放せない場合、住んでいなくても税金は請求される点にも注意が必要だ

 地方にも相続と固定資産税のリスクは存在する。地方の空き家を相続すれば、維持管理費と共に固定資産税を負担し続ける必要がある。空き家を売却・賃貸化できればよいが、買い手も賃借人も見つからないおそれがある。手放したい場合は解体も検討できるが、解体費用も高騰傾向にあり、相続人にとって重い負担となる。「親の家を受け継いだ子が困る」ケースは急増している。不要な不動産は早めに処分を検討することも大切だ。