近年、住宅価格の高騰が続いており、多くの消費者が「住宅の高騰はいつまで続くのか」「高騰しているのは知っているが、具体的にどれくらい上がっているのか」「高騰時だからこそ後悔したくない」という懸念を抱えている。本稿では住宅価格高騰の要因を分析し、新築購入時に注意すべきポイントについて、さくら事務所のレポートを基に解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
燃料費、原材料費、人件費…
住宅価格が高騰する5つの要素
ここ数年、住宅価格の上昇が止まらない。
国土交通省が公表している不動産価格指数を見ると、都市部を中心に高騰するマンションに比べると緩やかだが、戸建て住宅の価格も2020年ころを境に上昇傾向にあることがわかる。
2010年平均を基準(100)とした上昇率は、24年7月時点の住宅総合で137.8。つまり4割弱上昇していることになる。そのうち、マンションが202.2で2倍以上に上昇。一方、戸建て住宅は115.6。20年ころまでは100前後で横ばいだったが、それ以降は上昇傾向だ。
住宅価格がここまで高騰している要因は、主に5つある。
まず燃料費の高騰だ。経済産業省のデータによれば、20年から21年にかけてガソリン価格が急激に上昇し、材料の輸送費や工事車両の運用費が増加。これらの費用は最終的に住宅価格に反映される。
次に円安で、輸入材料のコスト上昇を招き、建設コストの増大につながっている。24年11月現在も円相場は歴史的な円安水準にあり、住宅価格に影響を与えている。
さらに原材料費の高騰もある。20年と現在を比較すると、木材は約1.2~1.4倍、鉄鋼製品は約1.6倍、生コンクリートは1.3~1.5倍に値上がりしており、建築コストが大幅に上昇している。
住宅の性能基準の引き上げも住宅価格に響いている。近年、住宅の断熱性能の向上が求められており、多くの断熱材の使用や施工方法の変更が必要となっている
そして、人手不足による人件費の増加だ。建築業界では人手不足が深刻化しており、高額な報酬が必要な状況が増えている。これが建築コスト上昇につながっている。
以上のような要因が絡み合い、住宅価格の高騰が続いている。住宅の購入を検討する際には、これらの背景を理解し、慎重な選択を心がけることが重要だ。
ここでは特に、新築戸建て住宅で購入時に後悔しないために、ホームインスペクション(住宅診断)の視点から気を付けるべき5つのポイントを挙げていく。