まずは店舗の概要だ。「日本初、廃線高架上の飲食店」という唯一無二の同店は、「アート×食×物語」をコンセプトに掲げる「エンタメレストラン」との位置づけだ。店内も鉄道をモチーフにしており、先頭車両に続く「2号車」と「3号車」が食堂車、「4号車」がキッチン、隣には座席を配した「ホーム」が広がる。

えっ、本物なの!?宙に浮かぶ「ピンクの列車」で味わう、京都のグルメ体験が想像の斜め上だった夜店内の様子(筆者撮影)
えっ、本物なの!?宙に浮かぶ「ピンクの列車」で味わう、京都のグルメ体験が想像の斜め上だった夜2号車「食堂車」の様子(筆者撮影)

「KAWAII」をテーマに
数々の「映えるメニュー」

 実物は先頭車両のみで、以降は鉄道車両を模した建物だが、細長い線路上に作っただけあって雰囲気は出ている。佐々木さんによると、車体上部の曲線や連結部などのアウトラインにこだわったそう。

 店舗をプロデュースしたのは「KAWAIIカルチャーの旗手」として、きゃりーぱみゅみゅのMVや、原宿の「KAWAII MONSTER CAFÉ(2021年閉店)」を手掛けた増田セバスチャンさん。企画のタイミングでたまたま683系の廃車体が出ることになり、サンダーバードを利用していて思い入れが深かったという増田さんが思い切った姿に生まれ変わらせた。

 テーマは京都にはないポップな「KAWAII」。ダイヤモンドダイニング社の持ち株会社DDグループは関東を中心にさまざまなコンセプトレストランを展開してきたが、同社にとっても前例の無い挑戦的な取り組みだった。複数案を提案する中で「これは絶対に採用されないだろう」と思った本案が採用されたと佐々木さんは振り返る。