棒切れの先に硬い石をくくりつけて「ハンマー」というものをつくり、手では割れないものを割れるようにした。丸い輪っかを4つ並べたものに箱をくっつけて「台車」というものをつくり、自力では運べない重さや大きさ、また多くの個数のものを運べるようにした。
同様に「自転車」も「自動車」も「飛行機」も、さらには「コンピューター」も「インターネット」も「生成系AI」も、すべて脳そのものの進化ではなく、技術の発展による身体・知的機能の拡張です。
『脳から心が生まれる秘密』(津田一郎、幻冬舎)
どういうわけか、人間だけがそういうことができるようになった。これも大いなる謎なのです。
ひとつ明確なのは、脳の発達の鍵は人間同士の相互作用だということです。
道具の発達により行動範囲が広くなればなるほど、今までとは違う人たちとの交流が生まれ、今までとは違う情報に触れることになる。こういう外部との接触の量的・質的変化により、脳は発達するのでしょう。
そして今、生成系AIという新しい道具を手にした人間の脳が、またさらに大きく身体・知的機能を拡張させることで、今後どんな発達をしていくのか。これも気になるところです。







