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私たちは日々、脳からの指令で体を動かしている。しかし、そもそも脳はどのように設計されているのか?形も場所も定かでない「心」は、どこから生まれてくるのか?人類が長らく抱いてきた数々の謎に、脳科学の第一人者がズバリ回答する。※本稿は、津田一郎『脳から心が生まれる秘密』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
人間の脳の設計は
自転車の設計と似ている
人間は「こういうものをつくりたい」という意志の下で設計図を描き、さまざまな機械を生み出してきました。
自転車のペダルが足で踏むのにちょうどよいサイズや形で、それが下の方に設置されるように設計されているのも、「足でペダルを踏んで動く二輪の乗りものをつくりたい」という意志があったからでしょう(もし「手でレバーを引いて動く乗りものをつくりたい」という意志だったら、足で踏むペダルではなく、手で握るのにちょうどよいサイズや形のレバーが設計されていたはずです)。
脳もこれと似ています。ニューロン(編集部注/神経細胞。電気信号を発生・伝達して情報処理を行う)たちが孤立して働くのではなく、互いにつながり連動することで脳のシステムは機能しています。
言語野、運動野など各機能の担当領域はあるにせよ、それらは単体で機能しているわけではない。ペダル、歯車、チェーン、車輪などが相互に連動することで車輪が回るように、あらゆる生体機能や認知機能は、脳領域どうしがニューロンのネットワークを介してつながり、相互に連動することで発揮されているわけです。
そして私たちの脳にも、設計図があるはずです。







